画像準備中       笹本祐一・著

朝日ソノラマ文庫

 〜〜「星のパイロット」シリーズ〜〜
「星のパイロット」「彗星狩り(上・中・下)」
「ハイ・フロンティア」「ブループラネット」

1999年 「彗星狩り」が星雲賞日本長編部門受賞



第6回である今回は「星のパイロット」を紹介いたします。
このシリーズの2作目である「彗星狩り」が1999年に星雲賞日本長編部門を受賞作していますので、これで星雲賞受賞作の紹介は4作目となりますね。
ただし、今回は「彗星狩り」だけを紹介する、というわけにもいかないのでシリーズ全体(まだ続いていますが)を紹介させていただきます。
ちなみに作者は笹本祐一で、「星のパイロット」以外の作品にはOVA化もされている「ARIEL」(朝日ソノラマ文庫)などがあります。

では作品の紹介に移りたいと思います。

まずは「星のパイロット」の舞台について紹介します。
舞台は21世紀前半あたり(平たく言うと若い人が「スター・ウォーズ」を知らない時代)の地球および宇宙空間で、時代的には宇宙開発黎明期の真っ只中にあたります。
そしてこの話の主人公である「羽山美紀」は宇宙を飛ぶパイロットです。
冒頭の時点での彼女は飛行機(F−18 ホーネット)の操縦に優れた才能を見せるパイロットではあっても、宇宙空間を飛ぶことに関してはまだまだ未熟な新米です。
ですが、「星のパイロット」では宇宙を飛び、「彗星狩り」では彗星を捕まえるために惑星間を飛ぶ、というように巻を追うごとに経験値を上げていきます。

また世の中にはきちんとした考証もせずにSFを語る作品もありますが、この「星のパイロット」は正しい意味でのSF(science fiction)です。
これは科学考証などがきちんと行われている作品である、という意味です(といっても私は飛行原理などを理解しているわけではないので、どこまで正しいかはよくは分かっていないのですが)。
本当にそのままの原理で宇宙を飛べるかは実際に試したわけではないですから分かりませんが(多分飛べると思います)、作者自身がかなりの研究をした上でこの小説を作ったのは確かです。
というか宇宙開発やロケットに魂を惹かれた作家ですから、そこら辺の事は徹底的に調べまくった上でこの小説を書いているはずだと思います。
実際プラズマロケットやイオンドライブ、ムーンブラストといった現時点では実用化レベルまでは到達していない技術もこの作品は無理なく有効に使われていますからね。

この作品の最大の魅力は「宇宙を身近に感じられる」という点でしょうか。
次々と湧き上がるトラブルに対処しながら、パイロットは宇宙にしろ彗星にしろ未知なる風景を目にするのですが、私たち読者は活字を通してそれを疑似体験するのです。
この風景を目にするのはまだまだ先の時代のはずなのに、そんなことに違和感を覚えることもなく私たちは活字の中にある宇宙を飛んでいくのです。
ほかにも宇宙飛行中の描写はとてもリアルで、近い将来こんなことが実際に起こり得るかも、と読者に思わせることでしょう。
この小説を読んでNASDA(宇宙開発事業団)に就職した、という人が現れても私は驚かないでしょうね(むしろ納得するかも)。

「星のパイロット」のシリーズは朝日ソノラマ文庫から発売されています。
現在のところ「星のパイロット」「彗星狩り」(上・中・下の3冊)、「ハイ・フロンティア」「ブループラネット」の6冊が発売されています。
「星のパイロット」はドラマCDも出ていまして、ガイナックスから発売されています(主演は宮村優子)。
あのガイナックスが初めて出したドラマCDですし、原作者本人が脚本を書いた作品ですので、出来は十分に期待できると思われます。

「無限に広がる大宇宙」
使い古されていて、もはや死語になっている言葉ですが決して嘘の言葉ではありません。
この本を読まれた方は、読後には「宇宙の彼方には何があるのだろうか」と思いを馳せることになるでしょう。
なんと言っても「未来には、まだ無限の空間と時間が広がっています」(「ハイ・フロンティア」の後書きより)からね♪

(2000.09.01)
2001.01.09 改訂





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