星界の紋章
今回紹介する作品も星雲賞の受賞作です。 今回取り上げるのは1997年に星雲賞日本長編部門を受賞している作品です。 その小説の名前は「星界の紋章」(森岡浩之著)。 最近WOWWOWでアニメになっていたので、そちらのほうで知っていられる方も多いとは思いますが、今回私が紹介するのは小説の方のみです。 なにぶんアニメの方は見てないものですから・・・。 ではでは第5回の紹介に移らせていただきますね。 ある日少年は突然貴族となってしまった・・・。 このようにして始まる「星界の紋章」(以後「紋章」と略)は読む人によっていくらか受け取るものが違う小説だと思います。 アーサー・C・クラークやアイザック・アシモフの本を読んだりして、SFに親しんでいる人にとって「紋章」は従来のSFの手法を駆使した上で、きっちりと独自の世界を作り上げた良質のSFに見えるでしょう。 一方、今までSFに馴染みの薄かった人(私もそうでした)にとっての「紋章」は読者のツボを押さえたエンターテインメント色の濃い小説であり、同時にSFへの入門書となる小説でしょう。 本の帯に「新時代のスペース・オペラ」というあおり文句があるのは伊達じゃありません(笑)。 ちなみに物語の世界観などを少し紹介させていただきますが、舞台ははるか未来の宇宙です。 宇宙は4つの星系国家に分かれ、物語は主に<アーヴによる人類帝国>の中で推移していきます。 帝国の支配階級的な存在は「アーヴ」という人種(?)です。 この帝国はかなり変わった生い立ちを経た国家で、またアーヴはとても変わった姿かたちや価値観を持った人種(?)なのですが、それについて説明するととても長くなりますのでここでは割愛させていただきます。 小説の中心的な登場人物は2人です。 2人の名前はリン・ジントとラフィールです。 この2人は宇宙空間や惑星上をとある理由(ネタばれになるので言いません)で色々な騒動を巻き起こしながら移動(というか逃亡かな?)していきます。 2人ともとても個性的なキャラクターです(特にラフィール)。 しかしながら主人公だけでなく、脇役のキャラも魅力たっぷりの人物ばかりが揃っています。 例えば趣味で艦隊を指揮して常に優雅に戦おうとし、副官に「惑乱の淑女」とまで呼ばれる方とか・・・(極端な例かな?)。 ついでですが森岡さんは徹底的にアーヴという人種(?)を作り上げていて、アーヴ語やアーヴ独自の度量衡といったものまで作成しています。 こういった付録的なものも星界ワールドを盛り上げる要素の1つになっていますね。 「星界の紋章」はハヤカワ文庫から全3巻で発売されています。 また「紋章」の続編として「星界の戦旗」が発売されていて、こちらは2巻まで発売されています。 ちなみにこの森岡浩之という作家、かなりの遅筆でして、「戦旗」の2巻は2年前の8月発売でした。 「戦旗」の3巻も作者本人は去年中には発売させるつもりだったようですが、案の定発売されませんでした。 今年に出るかも怪しい、と思うのは私だけではないはずです(などと言っていたら3月に発売されましたね・笑) 映像化についてですが、「紋章」、「戦旗」ともにWOWWOWでアニメ化されています。 アニメとしての出来はなかなからしいです(伝聞形)。 まずアニメから入るというのもこの場合ありでしょうね。 とは言っても、アニメの方はよく分からないのですがね・・・。 ただ小説の方は「是非ともっ!」と言いたくなるような作品でございます。 試みに読んでみて下さい。 その先には新世界が待っていますから・・・。
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