銀河英雄伝説
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田中芳樹・著
徳間書店(新書・文庫)、徳間デュアル文庫 全10巻、外伝4巻
1988年 星雲賞日本長編部門受賞
←新書版
カバーイラスト:加藤直之、カバーデザイン:矢島高光
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これからの数回は私が知っている星雲賞受賞作を取り上げてみたいと思います。
星雲賞とは前年度に発表された/完結したSF作品(特にSFには限っていない)の中から,
年次日本SF大会参加者の投票によって選ばれた作品に与えられる賞で、SF小説を評価する賞としては日本で最も権威のある賞の一つです。
最近では1996年に「パラサイト・イブ」、1999年に「ブギーポップは笑わない」、「クロスファイア」がノミネートされました
(受賞はしませんでしたが)。
そういうわけで第3回は1988年に星雲賞日本長編部門を受賞した「銀河英雄伝説」(田中芳樹著)を紹介させていただきます。
「銀河英雄伝説」(以後「銀英伝」と略)は未来の宇宙を舞台にした壮大なスペース・オペラです。
小説中では数百年の長きに渡り戦い続けていた「帝国」と「同盟」に出現した2人の名将ラインハルト・フォン・ローエングラムと
ヤン・ウェンリーを中心に話が展開されます。
話の内容についていろいろと語りたいことはありますが、「ネタばれなし」という方針のため詳細な説明はなしにして
「銀英伝」の魅力を語らせていただきます。
「銀英伝」で何よりも素晴らしいと思わせるものは舞台設定の絶妙さと人物描写の見事さでしょう。
「銀英伝」は宇宙という広大かつ緻密な舞台を多くの個性あふれる登場人物が縦横無尽に動き回る物語です。
登場人物はそれぞれが丹念に書き込まれていて、各人の個性は重複することがありません(作家にとってこれはある意味常識的なことですが)。
そして人物が縦横無尽に行動しても、世界は少しの破綻を見せないのです
(この場合舞台が大きくなればなるほど多大な技量と労力が必要とされます)。
これをやってのけたのは作者である田中芳樹自身が小説を書くことを厳密に捉えている上、物語や小説というものをこの上なく
愛しているからだと思います。
また私は「銀英伝」は読む人の視野を広げさせてくれる作品である、と思っています。
自分自身を例に挙げさせていただきますが、この本を読んだことで私は客体というものを意識するようになりました。
大学で歴史を学びたいと思うようになったのも「銀英伝」からの影響が大きいですし(もっとも大学では落ちこぼれてしまいましたが(苦笑))、民主主義について考えるきっかけを私に与えてくれたのも「銀英伝」です。
「銀英伝」を読まなければ良くも悪くも今の私はなかった、と断言できるのは確かですね。
私にとって「銀英伝」はまさに心のバイブルなのであります。
原点といってもいいですね。
「銀英伝」は徳間書店より新書、文庫の両方から発売されています。
本編は全十巻で、外伝は四冊出ています(他にも「銀河英雄伝説読本」に所収の作品も数点あり)。
OVAや映画としての映像化も大量に成されています。
また最近では徳間デュアル文庫からイラストを多数収録しての新装版が順次発売されています(ただし各巻が上下2冊になっています)。
もしも新たに興味をもたれた方がいるのでしたら、試しに読んでみてください。
その方は「伝説」を目にすることと思われます。
追伸
歴史にあまり興味がない方は最初の序章で引っかかるかもしれません(私の友人はそうだった)。
そういった場合は序章をとばして、序章は1巻の最後に読むのというのも一つの手だと思います。
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(2000.08.17)
(2001.01.09 改訂)
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